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前十字靱帯損傷

前十字靱帯損傷は、早めに治す必要がある!!

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前十字靱帯損傷について

前十字靱帯損傷(=断裂)は、そのままにしておくと、軟骨の破壊、半月板断裂が徐々に進行していきます。
数年経つと、修復できない部位もでてくるので、早期に手術(2~3ヵ月以内)を行うことが大事です。

ここでは、前十字靭帯を含めた膝関節のくわしい図をわかりやすく、描いています。
以下の内容は過去に報告された医学論文や経験をふまえた私見であることを最初にお断りいたします。

◆前十字靱帯は膝の真中にあり、前方へのズレや回旋などの動揺性を防ぐ役目。

◆前十字靱帯の解剖は、膝の脛骨のほぼ真ん中から、後ろ・外側に向かってくっつく。図の黄色の線維。

◆前十字靱帯は二つの線維からできている
 右図の前内側束(緑色)と後外側束(黄色)がうまく機能して膝の角度によって、 それぞれが役割を果す。

◆スポーツや事故などで膝に負担がかかったときに、前十字靱帯損傷・断裂が起こる。

◆ 特に、バスケット・サッカーなどでピボット動作のとき。
  足が床や地面に固定された状態で大腿(ふともも)をふくめた上半身が、右足なら反時計回り、左足な ら時計回りに回旋した場合、さらに膝が内に入る(内また)ような状態(外反ストレス)が同時に起こった場合におこる
 誰にも接触せず、自分自身で靱帯が断裂する・・・・・非接触型 前十字靱帯損傷

靱帯が伸びた・・という状態は存在しない
 なぜなら、柔らかい組織ではないので、ゴムのように伸びることは出来ず、線維が 硬くほとんど伸びないので、切れる(断裂)しかない。

◆断裂した前十字靭帯は自然につながることはない
 従って、断裂した場合には手術以外の方法は・・・ない。前十字靱帯再建術(靭帯断裂形成手術)を行う必要がある。

◆前十字靱帯再建術
 断裂した前十字靱帯を縫合するのではなく、自分の腱の移植の手術
 膝屈筋腱(ハムストリングス)を使う方法と膝蓋腱(BTB)を使う方法とがある。

◆最近では、膝屈筋腱(ハムストリングス)が主流だが、
  膝蓋腱(BTB)も十分よい方法。

◆ 移植腱の採取
 膝屈筋(曲げる)腱には、半腱様筋腱および薄筋腱がある。
 膝を深く曲げるときに主に使われている筋・腱。
 これを採取しても、スポーツや生活に困ることはない
 深く屈曲をする力が少し落ちるとされている。最近では、この腱が一部再生されることが証明されている(機能は不十分だが)。

◆鵞足(がそく)
 縫工筋腱、半腱様筋腱、薄筋腱の3つの腱が集まるところ
 鷲の足のようなのでこのような名前がつく。

◆前十字靱帯の膝屈筋腱(ハムストリングス)を使う方法では、1束と2重束で再建術を行う方法がある。

◆2重束 前十字靱帯再建術 の方が、バイオメカニクス的にはより良い
  解剖学的・・つまり前十字靱帯本来の2重束の形に近づけることで、靱帯の機能
  分担を高める。

◆研究論文の結果
 1束より2重束の方が前方不安定に対して、安定力が高まるという結果が主流。その一方で、その差はないという報告もある。

 生体力学には、2重束再建にした直後は、1束より良いという実験結果には議論はありません。つまり、手術直後の状態では、2重束再建術の方が生体力学的に安定性が高いということです。(特に回旋不安定性に対してよい)

 一方、1年〜2年経過した結果では前方への不安定性に関して、1束と2重束に差はないという結果はあるものの、主観的に膝の感じがよいという結果が報告されています。これは、2重束の方がより自分の膝に近いということで、解剖学的に2重束で再建した方がより本来の動きに近いという理由と考えられています。

 また、2重束の利点なのは、前方安定性がよいだけでなく、回旋安定性がよりよいということを客観的検査する方法が十分でないために、完全な証明ができないからだと考えられます(生きてる人間の膝としての評価が難しい)。

◆2重束が1束と同じかそれ以上の臨床結果ならば、2重束を選択するべきでしょう。なぜなら、印象的には1束は80点の満足度でよくなるけれども、2重束なら90点以上とれる可能性があるということです。

◆2重束の手術が適応できない人もいます。腱が短い、細い、膝が小さい場合には適応できません。この場合1束再建術が採用されます。

◆解剖学的2重束前十字靱帯再建術では、自分の膝屈筋腱を採取します。人工靱帯と組み合わせて、移植腱を作製します(移植腱ハイブリッド代用材料)。

◆断裂した前十字靱帯は縫合しても強度は得られないので、すぐ再断裂します。従って、無用のものですので、切除してしまいます。

◆その後本来の靱帯が付着していた位置に穴(骨孔)をあけます。移植腱を骨に掘った穴(骨孔)に、挿入します。

◆最後にステープル2個(ダブルステープル)で移植腱を固定します。ターンバックル法(ベルトを折り返して止める方法)で固定します。

◆骨付き膝蓋腱による前十字靱帯再建術(BTB法)は、膝下にある膝蓋腱の中央1/3を骨つきで採取して、これを移植腱として、人工腱やネジで固定して再建します。

◆BTB法では2重束再建術はできません(もしくは非常に難しい)。また、膝の前から骨や腱を採取するので、採取部位の痛みが出る人が20%前後いることが報告されています(女性に多い)。

◆BTB法の利点は、膝屈筋腱を使う方法より、リハビリが短く、スポーツ復帰は早いことが特徴です。

◆スポーツ復帰は、BTB法で、最短5ヶ月〜理想的には6ヶ月、膝屈筋腱を使う場合には最短6ヶ月〜理想的には8ヶ月でしょう。

◆極端な早期の復帰は、膝のゆるみが発生しやすいので、リハビリは慎重にすべきです。

☆☆手術の適応年齢は、膝の成長軟骨が閉鎖する(約12歳)までは、2重束再建術はできないし、1束再建術も困難を極めます。高齢者も骨の硬さ(骨密度)を考慮した上での手術となり、常識的には70歳くらいまでなら行えると考えます。

※ご意見、ご質問は以下にどうぞお書きください。

※図の無許可な転用・転載はご遠慮ください。御使用の際にはメールいただければ幸いです。よろしくお願いします。

◆膝の脛骨のほぼ真ん中から、後ろ・外側に向かってくっついています。図の黄色の線維です。

◆前十字靱帯はひとつですが、中で線維の束が2方向に分かれており、右図の前内側束(緑色)と後外側束(黄色)がうまく機能して膝の角度によって、それぞれが役割を果たします。

◆スポーツや事故などで膝に負担がかかったとき、切れる(断裂)ことがあります。

◆特に、バスケット・サッカーなどでピボット動作、つまり足が床や地面に固定された状態で大腿(ふともも)をふくめた上半身が、右足なら反時計回り、左足なら時計回りに回旋した場合、さらに膝が内に入る(内また)ような状態(外反ストレス)が同時に起こった場合に、誰にも接触せず、自分自身で靱帯が断裂することがあります。・・・・・非接触損傷

靱帯が伸びた・・という状態はありません。なぜなら、柔らかい組織ではないので、ゴムのように伸びることは出来ず、線維が硬くほとんど伸びないので、切れる(断裂)しかありません。

◆断裂した前十字靭帯は自然につながることはありません。従って、断裂した場合には手術以外の方法は・・・ありません。前十字靱帯再建術(靭帯断裂形成手術)を行う必要があります。

◆前十字靱帯再建術には大きくは膝蓋腱(BTB)を使う方法と膝屈筋腱(ハムストリングス)を使う方法があります。

◆最近では、膝屈筋腱(ハムストリングス)が主流ですが、膝蓋腱(BTB)も十分よい方法です。

◆膝屈筋腱には半腱様筋腱および薄筋腱があり、膝を深く曲げるときに主に使われている筋・腱です。これを採取しても、スポーツや生活に困ることはありませんが、深い屈曲をする力が落ちるとされています。しかしながら、最近では、この腱が再生されることが稀でないことがわかってきています。

◆鵞足(がそく)は、縫工筋腱、半腱様筋腱、薄筋腱の3つの腱が集まるところから、鷲の足のようなのでこのような名前がついています。

◆膝屈筋腱を使う方法では、1束と2重束で再建術を行う方法があります。

◆1束再建術も十分よい方法ですが、2重束再建術の方が、解剖学的・・つまり前十字靱帯本来の2重束の形に近づけることで、靱帯の機能分担を高めることを理想としています。

◆研究論文の結果では、1束より2重束の方が前方不安定に対して、安定力が高まるという結果が主流です。その一方で、その差はないという報告もあります。

◆生体力学には、2重束再建にした直後は、1束より良いという実験結果には議論はありません。つまり、手術直後の状態では、2重束再建術の方が生体力学的に安定性が高いということです。(特に回旋不安定性に対してよい)

◆一方、1年〜2年経過した結果では前方への不安定性に関して、1束と2重束に差はないという結果はあるものの、主観的に膝の感じがよいという結果が報告されています。これは、2重束の方がより自分の膝に近いということで、解剖学的に2重束で再建した方がより本来の動きに近いという理由と考えられています。

◆また、2重束の利点なのは、前方安定性がよいだけでなく、回旋安定性がよりよいということを客観的検査する方法が十分でないために、完全な証明ができないからだと考えられます(生きてる人間の膝としての評価が難しい)。

◆2重束が1束と同じかそれ以上の臨床結果ならば、2重束を選択するべきでしょう。なぜなら、印象的には1束は80点の満足度でよくなるけれども、2重束なら90点以上とれる可能性があるということです。

◆2重束の手術が適応できない人もいます。腱が短い、細い、膝が小さい場合には適応できません。この場合1束再建術が採用されます。

◆解剖学的2重束前十字靱帯再建術では、自分の膝屈筋腱を採取します。人工靱帯と組み合わせて、移植腱を作製します(移植腱ハイブリッド代用材料)。

◆断裂した前十字靱帯は縫合しても強度は得られないので、すぐ再断裂します。従って、無用のものですので、切除してしまいます。

◆その後本来の靱帯が付着していた位置に穴(骨孔)をあけます。移植腱を骨に掘った穴(骨孔)に、挿入します。

◆最後にステープル2個(ダブルステープル)で移植腱を固定します。ターンバックル法(ベルトを折り返して止める方法)で固定します。

◆骨付き膝蓋腱による前十字靱帯再建術(BTB法)は、膝下にある膝蓋腱の中央1/3を骨つきで採取して、これを移植腱として、人工腱やネジで固定して再建します。

◆BTB法では2重束再建術はできません(もしくは非常に難しい)。また、膝の前から骨や腱を採取するので、採取部位の痛みが出る人が20%前後いることが報告されています(女性に多い)。

◆BTB法の利点は、膝屈筋腱を使う方法より、リハビリが短く、スポーツ復帰は早いことが特徴です。

◆スポーツ復帰は、BTB法で、最短5ヶ月〜理想的には6ヶ月、膝屈筋腱を使う場合には最短6ヶ月〜理想的には8ヶ月でしょう。

◆極端な早期の復帰は、膝のゆるみが発生しやすいので、リハビリは慎重にすべきです。

☆☆手術の適応年齢は、膝の成長軟骨が閉鎖する(約12歳)までは、2重束再建術はできないし、1束再建術も困難を極めます。高齢者も骨の硬さ(骨密度)を考慮した上での手術となり、常識的には70歳くらいまでなら行えると考えます。

※ご意見、ご質問は以下にどうぞお書きください。

※図の無許可な転用・転載はご遠慮ください。御使用の際にはメールいただければ幸いです。よろしくお願いします。

前十字靱帯損傷はどんなときに起こるの?

スポーツ中に前十字靱帯損傷の受傷が多いようです。
例えば、スキー、バスケットボール、サッカー、バレーボールなどで、ジャンプの着地の際に膝を捻る動作(足のつま先の方向に対し膝の方向が内側に入る)やピボット動作で、前十字靱帯損傷がされやすい傾向があります。

前十字靱帯損傷と前十字靱帯断裂では違うの?

差はありません。靱帯損傷で『靱帯が伸びた』とよく言いますが、靱帯の線維は引っ張られても容易に切れないようになっています。しかし、弾力性は少なく、線維はあまり伸びません。従って、強い外力で伸びたら切れる(断裂)しかないわけです。

前十字靭帯損傷(断裂)の症状は?

症状は、スポーツ中などに、膝がガクッ(膝くずれ)となったり、ずれた感じが起こり、受傷時に断裂音(ポップ音)が聞かれたり、感じられたりすることが多いようです。
しかし、2~3日で腫れや痛みのピークは減少し、2週間くらいで歩行は十分出来るようになり、1ヶ月くらいで日常生活の支障は少なくなります。
靱帯が悪くても痛みを感じることは少ない。不安定感が主な症状です。

前十字靭帯損傷(断裂)を放置しておいていいの?(治療しなくてもいいの?)

放置していると、靱帯の機能が働かないため、膝がガクッ(膝くずれ)となったりすることを繰り返すことが多いようです。
この症状はスポーツ復帰時や階段下降時に自覚します。膝くずれや不安定感が続くと内側半月板(関節のクッション)が擦り切れてきます。
それによって半月板損傷(断裂)が合併し、半月板を切除しなければならなくなることが多く、それに引き続き関節表面の軟骨が削れて行きます。
従って不安定感のある人は治療の必要があるわけです。

  • 滑らかな正常軟骨
  • 軟骨損傷の状態

前十字靱帯損傷があるかどうかどうしたらわかるの?

まずは整形外科受診を勧めます。特にスポーツ整形を専門としている病院がよりよいでしょう。そこで、医師の診察(徒手検査:手で触って不安定性をみる)、骨折の合併がないかレントゲン写真、関節穿刺(関節内出血の有無をみる)、MRI(磁気共鳴画像)を行います。これらで診断がつきます。

  • MRI:正常な前十字靭帯
  • MRI:断裂した前十字靭帯

前十字靭帯再建術

前十字靱帯損傷はどうしたら治るの?

断裂した前十字靱帯は自然にはくっつきません。膝の内側靱帯や足首の靱帯は固定すれば自然にくっついて機能がもどることが多いのですが、前十字靱帯は関節内の靱帯のため無理なのです。そこで、新たに靱帯をつくらなければなりません。自分の取っても大丈夫な腱を使って、靱帯を模倣した移植腱を作製し、関節内に移植します。7ヶ月でスポーツ復帰が可能です。

  • 前十字靭帯再建術のシェーマ
  • 前十字靭帯再建術の術後レントゲン写真

手術のために入院は必要なの?

必要です。最低1週間。2週間あれば十分でしょう。早い人は1週間で杖なしで歩けますので、元気なひとなら学校や職場にデスクワークのみならもどれます。

手術はどのくらい時間かかるの?傷はどのくらいなの?

手術時間は1時間~1時間半くらいです。手術の傷は膝下内側に2~3cmのもの1コと内視鏡による傷(8mmくらい)が2~3コです。

前十字靱帯再建術って具体的にどうするの?

まず、関節鏡で靱帯の断裂を最終確認します。断裂した残骸は削り取ります。そしてすねの骨(脛骨)から膝関節内にトンネルを掘ります。
また、それに連続して関節内からふとももの骨(大腿骨)にトンネルを掘ります。膝を深く曲げるときに使う腱(自家膝屈筋腱3~4mm:半腱様筋腱および薄筋腱)を採取し、これを折り曲げて束ねて太く(5~6mm)します。
その両端に人工靭帯で長くして、先に掘った骨トンネル内を通して、関節内に移植腱を設置して、大腿骨の外側をボタンでと脛骨の内側にくさび(ステープル)で固定します。

  1. 膝内側から腱をとる
  2. 腱をなめす
  3. 腱を束ねる
  4. 移植腱として、腱の束に人工靭帯を接続する

どこか再建手術が他の病院と違うの?

最近では前十字靱帯をもとの膝に近くなるように、以前は1本の太い靱帯を作っていましたが、
少し細めの2本の移植靱帯を膝にいれることで、膝の状態がいろいろな面でよくなることがわかってきました。

  • 再建した前十字靭帯(伸展位)
  • 前内側束のみが見える再建した前十字靭帯(屈曲位)
  • 前内側束と後外側束の解剖学的2重束が確認できる

自分の腱を採って大丈夫なの?

膝を曲げる腱ですが、主になる曲げる腱は外側にあります。内側の腱は特に膝を深く曲げる時に使うものです。この腱を採ったことで、スポーツプロ選手でも問題になるようなことはほとんどありません。また、最近では腱の再生がなされることがわかっており、腱の機能がもどる人もいます。

リハビリにどれくらい通うの?

1ヶ月半~2ヶ月くらいは週2~3回通院が必要です。

どんなリハビリするの?

大きく分けて筋トレ、屈伸訓練(可動域訓練)、歩行訓練の3つです。歩行訓練は術後2日目から開始します。
筋トレは手術後すぐ始めます。屈伸訓練は徐々にゆっくりやります。あまり早く進めすぎると膝の安定性に影響がでます。

リハビリに何か必要なの?

術後から軽い運動し始め、スポーツ復帰まで継続して使用する前十字靱帯用硬性サポーター(装具)が必要です。
これは、移植した腱を保護する役目に重要なアイテムです。

手術や入院費用ってどのくらい?

正確には記することはできませんが、自費で手術料約40万円、手術材料費約70~80万円、麻酔費用約15万円 入院費+薬剤費その他(2週間)1日1万円×14(約14万円)で、合計約150万円くらいとなります。これに保険診療として3割負担約50万円前後となります。
高額医療費支給制度もあるのでもう少し少なくなる可能性があります。
これはあくまでも試算なので、保険の種類や個々の状況で異なります。

最後に手術はいつでも出来るの?

当院の手術日に合致すれば1週間後にも可能です。以前に言われていた3週間待機する必要がある!というのは、最近では積極的に時間をあけることはあまりしません。とはいうものの、『初診日の次の日にしてください』というのはさすがに難しいです。
ただし、前十字靱帯損傷を放置することが数ヶ月続くことは、半月板損傷や軟骨損傷の危険もあり、早めに手術を受けた方が良いでしょう。
また、十分に手術の執刀医と手術の相談を行い、十分納得して手術に向かうことが重要です。手術は患者様と医師の信頼関係ができなければできません。手術をすることが決まれば最前を尽くします。