私は膝の専門家で前十字靭帯と人工膝関節の得意な整形外科医(スポーツドクター)です。

スポーツドクターみやの日記

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日常診療から・・アーカイブ

2017/04/30

後十字靱帯損傷は、自然に治るわけでない ! !

(図をクリックすると大きくなります)

後十字靱帯損傷

後十字靱帯は、自然に治ると言う、誤解が医者にも多くありますが、症状が少ないだけで、治っているわけでないのです。
後ろへの膝ずれは残存し、中には、ズレの大きい人(多くは外側靱帯や内側靱帯の損傷を合併している)は、明らかに不安定症状が残存して、

不満をいいます。内側靱帯損傷は多くの医者が気づくのですが、
外側靱帯とくに外側支持機構については、診断が難しく、その筋の専門家でないと困難であり、
結局、”後十字靱帯損傷だけで、なんで問題なんだ”と押し問答になる事例があとをたちません。
後十字靱帯手術は、整形外科医で行える病院は非常に少なく、できないから、こういう話しになるわけです。

話が進まないときはセカンドオピニオンなど病院変更が必要です。
 

PCL受傷機転.jpg

     ○転倒で硬いコンクリートなどに脛(すね)をぶつける

     ○事故で車のダッシュボードにぶつける

     ○スポーツで強い力で脛に衝突する(人・地面)

          が原因で膝の中の十字靱帯というバンドを断裂するけがです。

  靱帯損傷とは、伸びることはなく、断裂して関節にゆるみをおこしてしまうことです。

【症状】

PCL症状.jpg

 

      ○慢性期では症状はないことが多い→問題なし(ゆるみが軽く、安定している)

      ○階段など膝が屈曲した状態で、不安定性がでる

      ○膝蓋骨(おさら)周辺に痛みが出る(膝蓋大腿関節の圧力が高まる:図の*のところ)

このように、お皿周辺に痛みがあり、改善しない場合、後十字靱帯が断裂し、

膝に後方へのゆるみが出 ている可能性があるわけです。

後十字靱帯損傷を放置した結果、変形性膝関節症が進行することがあります。後十字靱帯損傷は、日常生活での支障があまりないので、知らない間に進行する可能性があります。

下記のレントゲン写真は、40年前にバイク事故で左膝を負傷した後、診断ができず、治療も受けられなかった結果、変形性膝関節症に進行した患者様のものです。


PCL(1).jpg

   左膝 後十字靱帯損傷 後方に落ち込む         右膝 正常

 黄色の点線から左は1cm近く後方にずれていることがわかる。

PCL(2).jpg

膝 関節軟骨の摩耗が少なく、        左膝 関節軟骨の摩耗が著明で、

    関節の隙間が大きい                関節の隙間が小さい

                          変形性膝関節症が著明に進行している

 

このような症例は、あまり表にでていないが、後十字靱帯損傷の放置例は

変形性膝関節症に進行することは、過去の論文でも指摘されている。

しかしながら、靱帯損傷があっても、症状が少ないため放置されやすく、

長期間を経て、変形性膝関節症が進行すれば、改善することは難しい。

 

治 療

 

後十字靱帯損傷があっても、軽い場合周辺の組織と癒着してゆるみが軽く症状がはっきりでないので、この場合、治療の必要がありません。これは前十字靱帯に比べ、靱帯が太いことと、後方で血流のよい場所に靱帯が位置するため、靱帯の修復が行われやすいのではないかと言われています。

PCL3.jpg

 

しかしながら、断裂場所によっては自然修復が困難であることも多く、後方へのずれが必発していることもあります。

さらに他の靱帯との複合型の靱帯損傷が起こっている場合に不安定が出やすいと言われています。

後十字靱帯損傷+後外側支持機構損傷

後十字靱帯損傷+前十字靱帯損傷

後十字靱帯損傷+内側側副靱帯損傷 などの組み合わせがある。

この場合、後十字靱帯再建術と合併した靱帯再建術を同時に行って行く必要があります。

 

 

強い後十字靱帯損傷では、膝の前方部分が後方にへこんでおり、後方への不安定な症状が残存しています。

この場合、放置しておくと、変形性膝関節症が進行していくことが報告されています。

そこで後十字靱帯再建術を行い、治す必要があります。


PCL再建術.jpg

 

 

(方法)

自分の腱をとって(採取して良い部分)、それを束ねて、両サイドに人工靱帯をつけ、膝の中に骨のトンネルをあけて、その中に作製した移植靱帯(移植腱)を挿入して設置して、くさび(ステープル)で固定します。

断裂した後十字靱帯

Torn PCL.JPG

 

再建した後十字靱帯

PCLR.JPG


この手術は非常に難しく、簡単でないため、専門家でないとできないことが現状です。

まして関節鏡視下で行うことは、難度のある手術です。

(リハビリ)

○ 歩行は2日目から可能で、1週間で杖なしで歩けます

○ 膝を曲げていくリハビリが必要です(2-3ヶ月かかります)

○ スポーツ復帰は6ヶ月以降です

○ 肉体労働は4ヶ月必要です

○ 膝の専用ハードサポーターが必要です

 

 

 

 

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2016/02/14

アキレス腱断裂の治療 1週間で仕事にもどる

【アキレス腱 治療のポイント】
1)入院は2-3日   (長くとも1週) 
2)翌日から歩ける (荷重して) 
3)ギプスは使わない 
4)1週間以内に、杖は不要

【病状・原因】

アキレス腱の断裂は、スポーツで起こり30歳以降で多い  

原因としては、ジャンプ、ダッシュ、ターンなどで、急激に動こうと足で地面や床を蹴ろうとしたときに起こる

受傷時に アキレス腱に「ボールが当たった」「後ろから蹴られた」「棒で殴られた」と感じた後に、アキレス腱部に痛みを感じる例が多い

歩行は足裏をつければ歩くことはできるが、つま先立ちはできない


(写真とアキレス腱は関係ありません イメージ図)

【診断】

アキレス腱の断裂部を押すとぺこっと凹む、痛い

腹ばいになって膝をのばしてふくらはぎの中央をつかむと、正常では足首が足底に向かう運動が起こるが、腱断裂があると足首が動かない   (Thompson-Simmond squeeze test)

X線撮影 (軟線) 

超音波検査

MRI

 アキレス腱の断裂した状態

【治療】

手術的治療と保存的治療(非手術療法)がある

  △保存的治療: ギプス固定6週 (×推奨しない)

             さらにアキレス装具6週 杖は1ヶ月必要

             筋力や関節可動域の回復が悪い

             再断裂率 10.7-20.8%程度 (文献的、当院経験なし)

  ☆手術療法:アキレス腱縫合(◎推奨する)

            いろいろな方法があるが、当院では がっちり縫合して、早く動かす

           手術後翌日から体重をかける

            再断裂率1.7-5.4%程度(文献的、当院0%)


しっかりと縫合された状態     皮切は2-3cmと小さい                               抜糸後

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2008/09/18

整形外科三条医院ホームページ開設

久しぶりの更新です。

整形外科三条医院のHPが開設されました。
http://www.sanjo-hp.net/

img_gaikan.jpg

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2008/06/07

膝蓋骨脱臼と膝蓋骨亜脱臼症候群

おさら(お皿)がはずれる、おさら(お皿)がはずれそう、膝がぬける、膝がぬけた、などの経験はないでしょうか?膝の関節に時々、出血がでる、血がたまる などの症状はないでしょうか?

病気の原因:主に先天的な原因が多い
・若い女性で多い
・X脚のヒトがなりやすい
・脛骨粗面(膝蓋骨から5cmくらい下の突出したところ)が膝の中心より外にある
・大腿骨の膝蓋骨関節面の溝が浅い

症状:
・膝蓋骨が時々はずれる・・反復性膝蓋骨脱臼
・膝蓋骨の不安定感(はずれそうな感じ)・・・膝蓋骨亜脱臼症候群
・膝蓋骨周囲の痛み・だるさ・・・反復性膝蓋骨脱臼・膝蓋骨亜脱臼症候群

よく経験するのですが、私が膝の専門家だと聞いた方から、
『前から怪我がないのに冷えると膝周囲が痛かったり、だるかったりすることが多いですよねえ』
いつからかと聞くと、
『結構前から、あー10年以上前からですね』とか、長期にある人がいる。
これは膝蓋骨亜脱臼症候群に伴う膝蓋骨軟化症が原因と考えられる。

診断
・単純X線(レントゲン写真)で軸写(軸射)を30°60°90°の膝屈曲角度で撮影する
・CT撮影(関節の骨格上の不具合や骨折がよくわかる)
・MRI撮影(MPFL靭帯の断裂や軟骨の欠損がみつかる)

MPFL(内側膝蓋大腿靭帯)とLPFL(外側膝蓋大腿靭帯)がお皿(膝蓋骨)の横への脱臼が起こらないよう支えている重要な支持機構。

この写真の方は、17歳女子で膝周囲の漠然とした痛みが続き、数件の整形外科医を受診するも原因がわからなかったらしい。単純X線の通常の撮り方では、一 見普通に見えてしまう(図1)

しかしながら膝蓋骨軸射撮影では膝蓋骨が外側に亜脱臼しているのは一目瞭然である(図2)


(図1)


(図2)

治療
1)膝蓋骨脱臼

・MPFL(内側膝蓋大腿靭帯)が断裂
・骨軟骨骨折を伴うことが多い
・先天的に脛骨粗面の外側偏位
・大腿関節溝が浅い
*保存療法:内側広筋訓練、パテラサポーター(図)←効果は多少あるけどもサポーターをいつまでつければいいのか?サポーターで治ってしまうわけではな い!脱臼や亜脱臼を予防する意味しかありません。残念ながらしっかり直すには手術しかないのが現状です。

**手術
1) MPFL再建術

2) 脛骨粗面内方移行術

3) 脛骨粗面前内方移行術

脛骨粗面内方移行の皮切は従来12cm近くと大きかったが、今は下は3cm 上は2cmのちいさな皮切程度でOK。
女性の方で傷を気にされるようなら、この方法が奨められる。


膝蓋骨の外方偏位が改善され、関節面の適合も良くなっている(面と面が良く合っているよ)
(ア) Fulkerson osteotomy(1983年)←僕はこれを行っています。
(イ) Hauser法(1938年)・・・変形性膝関節症がおきやすい
(ウ) Elmslie-Trillat法(1964年) ・・・Fulkerson法の原法

4) 外側支帯解離術

5) 内側広筋前進術もしくは内側縫縮術←傷が大きい割に効果弱い。
急性期に縫縮術はあり得るかもしれないが根治治療とは言えない。

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