2019/02/27

前十字靱帯断裂は、早めに治す必要がある!!

☆☆ここでは、前十字靭帯を含めた膝関節のくわしい図をわかりやすく、描いています。
(以下の図はpop up できます。2秒くらいかかります。 図はすべて右膝です。)

◆◆以下の内容は過去に報告された医学論文や経験をふまえた私見であることを最初にお断りいたします。

 English Here→ http://www.sanjo-hp.net/blog/2016/02/-what-is-the-acl-injury-how-is-the-acl.html

◆前十字靱帯は膝の真中にあり、前方へのズレ(動揺性)を防ぐ

◆膝の脛骨のほぼ真ん中から、後ろ・外側に向かって走行(図の黄色の線維)

◆前十字靱帯はひとつですが、中の線維束が2つに分かれ、
右図の前内側束(緑色)と後外側束(黄色)が膝の角度によって、うまく機能して、それぞれが役割を果す

◆スポーツや事故などで膝に負担がかかったとき、切れる(断裂)

◆ 特に、バスケット・サッカーなどでピボット動作、つまり足が床や地面に固定された状態で大腿(ふともも)をふくめた上半身が、右足なら反時計回り、左足な ら時計回りに回旋した場合、
さらに膝が内に入る(内また)ような状態(外反ストレス)が同時に起こった場合に、
誰にも接触せず、自分自身で靱帯が断裂する ことがあります。・・・・・非接触損傷

靱帯が伸びた・・というのは間違い。なぜなら、柔らかい組織でないので、ゴムのように伸びない、線維が硬くほとんど伸びないので、切れる(断裂)

◆断裂した前十字靭帯は自然につながらない。従って、断裂した場合には手術以外の方法はない。
前十字靱帯再建術(靭帯断裂形成手術)を行う必要がある。
放置すると、半月板断裂や軟骨摩耗を経て 変形性関節症に進む

◆前十字靱帯再建術には大きくは膝屈筋腱(ハムストリングス)を使う方法と膝蓋腱(BTB)を使う方法がある。

◆最近では、膝屈筋腱(ハムストリングス)が主流ですが、膝蓋腱(BTB)も十分よい方法です。

◆ 膝屈筋腱には半腱様筋腱および薄筋腱があり、膝を深く曲げるときに主に使われている筋・腱です。
これを採取しても、スポーツや生活に困ることはありません が、深い屈曲をする力が落ちるとされています。
しかしながら、最近では、この腱が再生されることが稀でないことがわかってきています。再生しても機能は不十分なことが多い。

◆鵞足(がそく)は、縫工筋腱、半腱様筋腱、薄筋腱の3つの腱が集まるところから、鷲の足のようなのでこのような名前がついています。

◆膝屈筋腱を使う方法では、1束と2重束で再建術を行う方法があります。

◆1束再建術も十分よい方法ですが、
2重束再建術の方が、解剖学的・・つまり前十字靱帯本来の2重束の形に近づけることで、靱帯の機能分担を高める

◆研究論文の結果では、1束より2重束の方が前方不安定に対して、安定力が高まるという結果が主流です。その一方で、その差はないという報告もあります。

◆生体力学には、2重束再建にした直後は、1束より良いという実験結果には議論はありません。つまり、手術直後の状態では、2重束再建術の方が生体力学的に安定性が高いということです。(特に回旋不安定性に対してよい)

◆ 一方、1年〜2年経過した結果では前方への不安定性に関して、1束と2重束に差はないという結果はあるものの、主観的に膝の感じがよいという結果が報告さ れています。これは、2重束の方がより自分の膝に近いということで、解剖学的に2重束で再建した方がより本来の動きに近いという理由と考えられています。

◆また、2重束の利点なのは、前方安定性がよいだけでなく、回旋安定性がよりよいということを客観的検査する方法が十分でないために、完全な証明ができないからだと考えられます(生きてる人間の膝としての評価が難しい)。

◆2重束が1束と同じかそれ以上の臨床結果ならば、2重束を選択するべきでしょう。なぜなら、印象的には1束は80点の満足度でよくなるけれども、2重束なら90点以上とれる可能性があるということです。

◆2重束の手術が適応できない人もいます。腱が短い、細い、膝が小さい場合には適応できません。この場合1束再建術が採用されます。

◆解剖学的2重束前十字靱帯再建術では、自分の膝屈筋腱を採取します。人工靱帯と組み合わせて、移植腱を作製します(移植腱ハイブリッド代用材料)。

◆断裂した前十字靱帯は縫合しても強度は得られない。従って、無用のものですので、切除する。
一方 残った前十字を活用する“遺残組織温存ACL再建術”もある

◆その後本来の靱帯が付着していた位置に穴(骨孔)をあけます。移植腱を骨に掘った穴(骨孔)に、挿入します。

◆最後にステープル2個(ダブルステープル)で移植腱を固定します。ターンバックル法(ベルトを折り返して止める方法)で固定します。

◆骨付き膝蓋腱による前十字靱帯再建術(BTB法)は、膝下にある膝蓋腱の中央1/3を骨つきで採取して、これを移植腱として、人工腱やネジで固定して再建します。

◆BTB法では2重束再建術はできません(もしくは非常に難しい)。また、膝の前から骨や腱を採取するので、採取部位の痛みが出る人が20%前後いることが報告されています(女性に多い)。

◆BTB法の利点は、膝屈筋腱を使う方法より、リハビリが短く、スポーツ復帰は早いことが特徴です。

◆スポーツ復帰は、BTB法で、最短3ヶ月〜理想的には6ヶ月、膝屈筋腱を使う場合には最短5ヶ月〜理想的には8ヶ月でしょう。

◆極端な早期の復帰は、膝のゆるみが発生しやすいので、リハビリは慎重にすべきです。

☆☆手術の適応年齢は、膝の成長軟骨が閉鎖するまでは、手術をせず、サポーターでスポーツ復帰し、手術適応年齢は、男14歳以上 女子12歳以上で手術を行う。
高齢者も骨の硬さ(骨密度)を考慮した上での手術となり、常識的には70歳くらいまでなら行える。

※ご意見、ご質問は以下にどうぞお書きください。

※図の無許可な転用・転載はご遠慮ください。御使用の際にはメールいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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